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理学療法士の職域拡大とその課題

毎年、一万人以上が誕生している理学療法士。

現状の市場モデルでは確実に過剰供給になることが予測されている。

このような背景を踏まえ、厚生労働省は、2016年 8 月5日、医療従事者の需給に関する検討会の「理学療法士(PT)・作業療法士(OT)需給分科会」を開催し、「理学療法士・作業
療法士の需給推計方法」を提案している。

厚労省は将来の理学療法士・作業療法士の必要人数である需要推計方法に関して、1)医療分野、2)介護分野、3)その他の分野—に分けて推計することを提案し、今後の需給調整を視野に入れたいと考えている。

その会議において、日本理学療法士協会は様々な職域の拡大について提案をしている。

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医療従事者の需給に関する検討会 第1回 理学療法士・作業療法士需給分科会 資料5(平成28年4月22日)より抜粋

予防・高度急性期・急性期・回復期・生活期の各分野における理学療法士の活動に関して提案し、理学療法士協会としても各分野における活動を推進している。

特に、予防と生活期における理学療法士の活動は一般的に普及しておらず、まだまだ市場開拓の余地が残っている。

一方で、日本の社会保障制度の財政は厳しさを増しており、現行の政権においても社会保障費の圧縮は一丁目一番地の政策となっている。

そのような環境において、社会保障費により負担をかける制度は今後発展しにくい。

つまり、予防や生活期における理学療法士のサービスの財源が社会保障費で賄われるとなると、その分野の発展は厳しいと言える。

従って、社会保障費に頼らないサービスの創出が重要となってくる。

くしくも、地域包括ケアシステムでは、自助・互助・共助・公助の役割分担を推進している。

特に、政府は「自助」の考え方やサービスに関して強く推進したいと考えている。

今後、自費サービスを市場から購入することで、自らの健康管理や介護予防を行うことがより一般的な事柄になっていくだろう。

また、現在、「混合介護」が解禁される動きが出ている。

介護保険サービスと自費サービスの混合が認められることにより、より利便性の高いサービスの開発が進んでいくだろう。

しかし、自費サービスに関する制度設計や業界の理解は遅れている。

理学療法士で自費サービスをしている人も多いが、理学療法士やセラピスト業界からどこか冷たい目線で見られている空気がある。

また、公的団体も自費サービスのガイドラインを作るなどの、自費サービスを支援するような動きも見られない。

職域拡大をいくら叫ぼうとも、その財源が確保できなければ、絵に書いた餅となる。

理学療法士の知見や経験を社会に活かすためには、「サービスの自費化」というとてつもないハードルが存在している。

コンプライアンスを守りながらも、自費サービスの開発に積極的に取り組んでいく姿勢がこれからの理学療法士には求められる。