829dcdbfedab06746ff1acd019453742_s

PT大沼俊博の臨床家ノート 立ち上がり動作練習の一工夫

理学療法士や作業療法士が、なんとか立ち上がることができるレベルの患者さんに対して立ち上がり動作練習を行う際には、介助下、もしくは監視下にて練習を行うかと思います。

わたしが理学療法士になった新米の頃のお話です。

立ち上がり動作にて転倒傾向を認めながらも、なんとか動作遂行が可能なレベルの片麻痺患者さんに練習をさせて頂いていました。

立ち上がり動作観察を行い、必死に問題点のストーリーを考え、患者さんの真正面、そして間近にて練習をおこなっていました。

『股関節の屈曲運動に伴って体幹が前傾していく過程で膝関節が伸展し、殿部離床…。』

立ち上がり動作の初期の運動をつぶやきながら練習を行っていたのですが、患者さんが立てないのです。

『なぜ???』

数回試みたのですが、膝関節の伸展運動がなかなか出ずに半ば尻もち気味に着座に至るのです。

『これは患者さんのせいではない。』

当時、患者さんの姿勢や運動の状況を把握する、さらには自分が患者さんをどのように動作誘導しているのかを確認する目的で、適宜姿見の鏡をみながら練習をさせて頂いていました。

ちらっと練習中に鏡をみてみると…。

患者さんが股関節屈曲運動に伴って体幹が前傾するのをわたしが正面で近づき過ぎていることにより、運動を遮っていたのです。

そのうえで、膝関節の伸展を促していたのですから立てるわけがありません。

0506

患者さんを自分がどのようにハンドリングしているのか想像がつかないまま一生懸命練習していたのです。

そこで股関節の屈曲に伴って体幹が前傾できるように患者さんとわたしとのスペースを確保することで立ち上がり練習が成立し、その積み重ねにより立ち上がり動作の自立に至ったという経験をさせて頂きました。

この際、セラピストの立ち位置ひとつで患者さんの運動を阻害してしまうことを学ばせて頂きました。

治療に集中しするぎるがゆえ、患者さんの運動の動線を遮っていることがあります。

治療風景を時折鏡で確認したり、動画などにより確認をさせて頂ける場合は、セラピスト自身の姿勢やハンドリングの分析ためにも大変良い勉強になります。

恥ずかしくもなりますが、きっと得るものが多いですよ。

執筆者
大沼 俊博  PT, M.S. (Health Sciences)
oonuma
六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部