160178

ADL維持向上等体制加算の施設基準見直しの意義を考える

2016年診療報酬改定にて、ADL維持向上等体制加算の施設基準が大幅に見直された。

見直された内容は次のものである。
1.加算の点数が20点から80点に増加した。
2.従来の算定要件に加え、退院後の生活のリスク、患者教育への関わり、活動・参加への支援などが追加された。
3.従来は専従勤務者のみが病棟で業務に従事していることが算定要件であったが、今回より病棟に登録されている複数のセラピストのいずれか、当該加算を算定する病棟で一日6時間働いた場合に算定できることになった。

点数は増加され、算定要件の人的要件に関しては緩和されたが、病棟における褥瘡の予防やリハビリテーションの相談・指導だけでなく、患者教育や活動参加に関する取り組みが求められることになった。

本加算を算定している患者には疾患別リハビリテーションが算定できない。
そのため、多くの病院が採算性の低さから算定を見送っていた。

では、今回の点数増加で採算性はどの程度改善したのであろうか。

40床の急性期病棟をモデルとして計算すると。
ADL維持向上等体制加算
40床×80点×30日=96,000点
一か月間で96万円の収入となる

疾患別リハビリテーションを算定(運動器疾患)
40床×185点×30日=222,000点
一か月で222万円の収入となる

よって、差額は222万円-96万円=126万円となる

したがって、今回の改定でも疾患別リハビリテーションを算定するほうが採算性は高い。

つまり、採算性という視点だけでは、当該加算加算を算定する意義が見当たらない。

それでは、どのような目的で当該加算を算定するべきであるか。

1)病床数(入院患者数)と比較して、セラピストの数が少なく、疾患別リハビリテーションを算定できない患者が多数いる場合

2)リハビリテーションの適応の有無や安静度に関する助言を医師や看護師に行うことが、病棟運営上、有意義な場合

3)在院日数が短い病床(患者回転率が高い)で、運用上、セラピストによる疾患別リハビリテーションの提供が困難である場合

4)褥瘡や誤嚥性肺炎により、在院日数が延長しているため、看護部門へのリハビリテーションのコンサルティングが必要である場合

などが考えられる。

加算の単価による採算性だけでなく、病棟マネジメントという視点で考えると当該加算の意義が見えてくる。

adl1

adl22016年2月10日
中央社会保険医療協議会 総会 資料