PT・OT・STが知っておきたい介護予防ケアマネジメントの仕組み

介護予防ケアマネジメントは、要介護状態になることの予防や要介護状態の重症化防止を図ることが目的である。

地域包括支援センターが予防給付における介護予防支援地域支援事業における介護予防ケアマネジメントを行う。

なお、訪問看護など予防給付と地域支援事業を組み合わせて利用する場合や第二号被保険者が総合事業を利用する場合には、要支援認定を受ける必要がある。

介護予防ケアマネジメントの基本的な考え方を次の通りである。

1)利用者の自立支援に向けた目標志向型の介護予防ケアプランを作成する
2)利用者の生活機能に着目する
3)今後の予後予測を行い、利用者とともに今後の目標を定める
4)利用者が意欲を高め、主体的に取り組めるように支援する
5)生活機能を定期的に評価する

介護予防ケアマネジメントの対象者は
予防給付を利用する要支援者地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業の対象者となる。

介護予防・日常生活支援総合事業の対象者は、要支援者と基本チェックリストに該当した第1号被保険者である。

介護予防ケアマネジメントには3つの類型がある。

1)原則的な介護予防マネジメント
予防給付・総合事業の指定事業者のサービス・短期集中予防サービスが該当する

2)簡略化した介護予防ケアマネジメント
サービス担当者会議は開催しなくてもよいが、モニタリングは適時行う
指定事業者以外の多様なサービス

3)初回のみの介護予防ケアマネジメント
アセスメントを結果を利用者と共有し、必要に応じてモニタリングを行う
住民主体のサービス

ジョギング

また、介護予防ケアマネジメントのアセスメントにおける特徴として、次の2点が挙げられる。

1)評価は担当する地域包括支援センターの職員が行う

2)アセスメントは
①運動・移動
②家庭生活を含む日常生活
③社会参加・対人関係・コミュニケーション
④健康管理
についての領域ごとに行う

今後、医療保険、介護保険の財源圧縮により、介護予防ケアマネジメントによる利用者支援の種類は増加していく。

様々な形で、利用者を支援することになるが、いずれにしても理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の技術は必要とされる。

医療機関や介護事業所以外の場面におけるリハビリテーション提供能力が専門職には求められる。

予防としてのリハビリテーションの展開には、介護予防ケアマネジメントの関係が切り離せない。

2016年度診療報酬改定 要チェック!リハビリテーション大項目

2016年度診療報酬改定の概要が明らかになった。

リハビリテーションの項目に関しては、4つのキーワードごとに様々な制度改定が行われる。

キーワード1 早期からのリハビリテーション
1.初期加算・早期加算の算定要件等の見直し
2.ADL維持向上等体制加算の施設基準の見直し

ADL維持向上等体制加算は施設基準の人的要件とプロセス要件が変更され、点数も増加した。セラピストの少ない医療機関や入院患者数が多い急性期病棟において、セラピストがリハビリテーションに関連するマネジメントを他職種と協同して行うことで、廃用症候群や褥瘡を予防することが本加算の目的である。前回の診療報酬改定に引き続き、本加算が評価されたことから、国は急性期病院の在院日数短縮にはリハビリテーションの視点が不可欠と考えていると言える。

キーワード2 質の高いリハビリテーション
1.回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価

質の低い回復期リハビリテーション病棟は提供した7単位以上は入院料に包括されることになった。回復期リハビリテーション病棟は整備目標病床数を超えており、いよいよ淘汰の時代に入ったと言える。しかし、今回定められたFIM運動項目の改善度合いや在棟日数要件が、どの程度の回復期リハビリテーション病棟に影響を与えるかは定かではない。むしろ、本改定の影響を材料とし、2018年度診療報酬改定でさらに厳しい制度が設定されるだろう。

キーワード3 多様な状態に応じたリハビリテーション
1.摂食機能療法の対象の明確化
2.廃用症候群リハビリテーション料の新設
3.心大血管リハビリテーション料の施設基準の見直し
4.運動器リハビリテーション料の評価の充実
5.リンパ浮腫の複合的な治療等

高齢者の入院患者が急増しており、入院医療では摂食・嚥下障害・循環器障害・廃用症候群などの高齢者特有の合併症への対応が大きな課題となっている。主たる病気が緩和したとしても合併症が入院期間を延長させる要因になっている。今回の改定では、高齢者特有の問題にリハビリテーションが対応できるように、弾力的な制度が導入されたと言える。

キーワード4 目標を意識した戦略的なリハビリテーション
要介護保険被保険者の維持期リハビリテーションの介護保険への移行

算定上限日数を超えた要介護保険被保険者が医療保険でリハビリテーション行う場合、過去最大の疾患別リハビリ料の減算が行われることになった。また、要介護保険被保険者に対して、医師が患者のニーズやリハビリテーションの方針を確認することを評価する目標設定支援等・管理料を算定しない場合にも、さらなる疾患別リハビリ料の減算が行われることになる。
今回の改定は、要介護保険被保険者のリハビリテーションを積極的に行っている医療機関に対し、介護保険リハビリテーションへの移行を迫る最後通告となった。

質の高いリハビリ

2016年3月4日 厚生労働省 資料

 

 

地域包括ケア病棟の手術・麻酔にかかる費用が包括外となるとリハビリテーション医療のマーケティングが変わる

2016年1月27日 中央社会保険医療協議会にて2016年度診療報酬改定の個別項目について発表がされた。

その中で、地域包括ケア病棟の手術と麻酔の費用が入院料から包括外となることが言及されている。すなわち、地域包括ケア病棟にて手術を要する医療必要度が比較的高い入院患者を受け入れることが可能となった訳である。

地域包括ケア病棟 手術出来高2016年1月27日 中央社会保険医療協議会資料

このことによって、既存のリハビリテーション医療のマーケティングに影響が出ると考えられる。

地域包括ケア病棟は、2014年度診療報酬改定で新設された病棟である。

この病棟はリハビリテーションが包括化され、70%の在宅復帰率の要件が課せられている。

すなわち、従来、回復期リハビリテーション病棟が担っていたリハビリテーションの提供と在宅復帰を行う役割を、地域包括ケア病棟も担うことになった。

一方、回復期リハビリテーション病棟の入院患者には疾患等の条件があり、あくまでもリハビリテーションの適応があることが建前上の前提となっている。

しかし、地域包括ケア病棟は入院患者の要件に疾患や発症時期の縛りがなく、比較的、入院基準のハードルが低い。

近年、回復期リハビリテーション病棟の運営では、
回復期リハビリテーション病棟の乱立や自院急性期機能の低下などにより回復期リハビリテーション病棟適応の入院患者が集まりにくいことや、
廃用症候群のレセプトが査定される
などの問題が多発している。

地域包括ケア病棟では、急性期だけでなく、地域の施設や自宅からの患者が受け入れ可能であり、かつ、疾患の縛りがないというマーケティング上のアドバンテージが存在する。
その上、2016年度改定で、大腿骨頚部骨折等の手術が当該病棟にて、出来高で算定できるということになると、回復期リハビリテーション病棟よりマーケティングや収益面におけるアドバンテージがさらに強くなる可能性もある。

ただし、地域包括ケア病棟にも課題が無いわけではない。
地域連携にしっかりと取り組まなければ、地域からの入院患者の受け入れや退院支援が困難になる。

リハビリテーション医療を事業の中心としている医療機関においては、今後、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟のどちらに力を入れるかの決断が迫られる時が近づいている。

スーパー理論「ライフステージ」

米国の学者であるドナルド・E・スーパーが提唱した最も古典的な理論である。
古典的な理論ではあるが、現代でも通じる普遍的な価値観を包含する理論である。

スーパーのキャリアの考え方は二つに分けられる。
1つ目は「ライフステージ」
2つ目は「ライフロール」

ライフステージ
スーパーは、人生を5つのステージに分類した。それぞれのステージに職業的発達課題があるとしており、生まれてから死ぬまでの生涯活動がキャリアであると定義している。

ステージ1 成長段階 0-15歳
自我に気づき、自分の価値観や性格を認識する時期
働くことの意味について考え始める時期

ステージ2 探索段階 16-25歳
職業に興味を示し、実践的な関わりを得る時期
実践を通じて、自身への適応具合を判断する時期

ステージ3 確立段階 26-45歳
職業への方向づけを明確にして、職業の主軸を形成し、アイデンティティを確立する時期

ステージ4 維持段階 46-65歳
自身の立場や役割を保持し、人生を発展させていく時期

ステージ5 下降段階 60歳以上
退職・引退・セカンドライフを楽しむ時期

現在、多くのPT・OT・STはステージ2かステージ3に立っているのではないだろうか?
確立段階や維持段階では、自身のキャリアのあり方について深く考え、具体的な行動が必要とされる。

これからの時代においては、PT・OT・STを取り巻く環境は厳しくなっていくため、ステージ4以降の職業人生に大きな不安がある。
ステージ4 維持段階以降を充実したものにするためには、ステージ3とステージ4での綿密なキャリアデザインが重要である。

特に、ステージ3 確立段階にいる人は「自分に適した仕事の分野や内容は何か?」ということを見極める時期であり、一つの仕事や業界に固執するのではなく、様々なことに取り組み、仕事への感性や人生の価値観を発見する必要がある。

 

作業療法士という仕事

作業療法士の定義
1965年に定められた「理学療法士及び作業療法士法」により定められたリハビリテーション専門職の一つである。
法律上の定義は「厚生労働大臣の免許を受けて、「作業療法士」の名称を用いて、医師の指示の下に、「作業療法」を行うことを業とする者をいう。」となっている。
また、法律では『「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。 』となっている。

作業療法士の仕事場
上記の作業療法士の法律上の定義より、医師の指示を受けて作業療法を行うことが原理原則となっていることから、病院、診療所、老人保健施設などの医師が勤務しているところで働くことが一般的になっている。介護保険分野で働く作業療法士が増えてきたのは、2010年前後からである。特に、訪問リハビリテーションや老人保健施設に勤務する作業療法士が増加している。

作業療法士の仕事内容
作業療法士の仕事は一般的に以下の3つのステージに分けられる。

急性期
救急機能をもつ病院や大学病院などで、重症な患者に対して救急治療や濃厚な治療を行う時期である。術前・術後にリハビリテーションを開始する。病院によっては、集中治療室(ICU)でリ ハビリテーションを行うこともあり、高度な医療知識やリスク管理が求められる。作業療法士は急性期から自立した生活にむけたセルフケアや日常生活動作の獲得を支援する。

回復期
病状が落ち着き本格的に身体機能の回復と在宅や職場復帰のために環境調整を行う時期である。日常生活動作や日常生活関連動作の回復を図りつつ、住環境の調整を行うなどの取り組みを行う。在宅や職場で自立した生活が行えるように日常生活動作の指導や自助具などの使用方法についても検討する。

生活期
在宅生活や施設で生活をしている人への身体機能や活動性の維持・向上に関する支援を行う時期である。また、近年では重症な人や看取り期の人も在宅で生活をしていることから、急性期に関する知識やターミナルケアに関する知識が必要である。さらに、長い生活期では状態変化に応じた介助方法や日常生活動作に関して家族や介護者への支援も作業療法士の仕事である。

作業療法士の特徴として、以下に示す分野での就労がある。
精神科病院・デイケア
精神科作業療法を用いて、精神障害の方へリハビリテーションを提供する。個別あるいは集団療法により、症状の回復、安定を図る。また、環境整備や様々な体験を通じて、自己効力感の回復、生活技能の獲得を促進する。個別評価に基づき心理療法やレクレーションなど様々なアプローチを行う。

就業継続支援
通常の会社や企業に雇用されることが困難な障害者に対して,就労の機会を提供するとともに,就業に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業所。

作業療法士の数
理学療法士と同様に、作業療法士の数も急増している。
作業療法士人数

出典元:厚生労働省 2015年12発表 作業療法士従事者数