中年PT・OT・STはキャリアを真剣に考えないと、相当まずいことになる

2017年時点で40歳から50歳のセラピストは、2030年時点で53歳から63歳になっている。

あと、13年経てば、PT・OT・ST合わせて26万人ほど増えていることになる。

時代は超高齢化社会。

2030年の3人に1人が65歳以上の高齢者の時代では、社会保障費の圧縮はさらに進んでいる。

そのような時代では、医療機関や介護事業所の収益性は低下することから、人件費圧縮のために収入の低い労働者が重宝されるだろう。

給料の高い従業員は、相当な実力をもっていなければ会社としては雇い続けることは難しいだろう。

つまり、2017年度時点で中年のセラピストは2030年時点で「組織のお荷物」になる可能性が極めて高いと言える。

この中堅層は基本給が高い2000年前後にセラピストになっていることから、他の世代と比較して給与水準が高い。

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そのうえ、セラピストが少なかった時代は、PT・OT・STという資格のプレミア価値があったことから現在中年のセラピストには、時代で勝ち残っていくための自己研鑽が必要であるという切迫感が乏しい。

きつい表現で言えば、やる気はないくせに中途半端に給与高いと言える。

2030年になれば、多くの中年セラピストが実力のなさを問い詰められ、退職せざる得ない状況になる。

したがって、中年セラピストこそ、キャリアデザインが必要である。

しかし、中堅セラピストにそのような危機感は感じられない。

一般企業のような中高年のリストラクチャリングがセラピストの世界で当たり前になるという危機は目の前に迫っている。

 

PT・OT・STが陥りやすい間違い イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ
業界上位の企業が顧客の意見に耳を傾け、高品質の製品・サービス提供で破壊的イノベーションに市場を奪われる現象

ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン氏が提唱した概念である。

破壊的イノベーションとは
性能面は劣り、低価格、利用が容易であるという特徴を持つ。

優良企業は、顧客の要求する性能を愚直に追い続けていくことにより、製品やサービスの機能は向上していく。

次第に、顧客が理解しずらい、扱いずらい製品やサービスになっていく。

例えば、高品質で多品種をそろえたデパートが衰退し、ディスカウントストアーが発展したような事例である。

このように顧客が理解しやすく、扱いやすい破壊的イノベーションが顧客から支持される現象を、イノベーションのジレンマと言う。

実は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の業界にもイノベーションのジレンマは存在する。

臨床現場や教育現場において、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が難しい理論を追求すればするほど、臨床では応用しにくい技術になっていく。

特に、優秀なセラピストほどこの傾向は強く、難解な治療手技を展開することで他者が模倣することが出来ない技術が完成し、統一した医療技術の提供が困難となりチーム医療が破綻することがある。

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優秀でまじめなセラピストは高品質・高煩雑な評価や治療を作り上げていく。

一見、このことは良いことに思えるが実は組織の中においては、「イノベーションのジレンマ」という大問題に発展していく。

難解な治療技術は、周りのセラピストにとって使いにくいものになり、結果的には使われない技術となる。

周囲から評価されるのは、誰もが扱いやすい破壊的のベーションである。

セラピストは自分が行っていることが、周りに理解され、扱いやすいものなのか?を強く意識する必要がある。

この視点がなければ、地域包括ケアシステムやチーム医療の中で働くことは難しいだろう。

 

 

 

 

PT・OT・STの転職事情
成長できる環境を求めるから失敗する

今の職場に不満がある人は、会社への求心力が低下し、会社の外にある会社や組織に対する遠心力が増加していく。

その遠心力は、徐々に「成長できる環境」を求める気持ちへと変化する。

「成長できる環境」は魅力的な言葉である。

あたかも、環境を変えるだけで成長できるような気持にさせられる。

しかし、本当に「成長できる環境」という素晴らしい環境は存在するのだろうか?

自分を取り巻く環境が「成長できる環境」か「成長できない環境」の意味付けは本人が行うものである。

心理学者のアドラーはこのように言っている。

「意味は状況によって決定されるのではない。われわれが、状況に与える意味によって自らを決定するのである」

つまり、「成長できる環境」が絶対的にあるのではなく、「成長できる環境」と意味付けするのは人間の気持ち次第であるということである。

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言い換えると

環境を変えれば成長できるのではなく

自分自身の環境に対する気持ちを変えれば成長できる

と言うことである。

組織の中で常に不平不満を言っている人は、「上司が悪い」「同僚が足を引っ張る」「仕事内容が合わない」と自身の環境への攻撃性が高い。

このような人は、決して自分自身の環境に対する気持ちを変えることはしない。

「成長できる環境」を求める気持ちが強い人は、環境に対する依存心が強く、自分自身を変えることへの視点が乏しいと言えるだろう。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の雇用の流動性は高まっており、以前より転職率は高まっている。

だから、こそ今一度、転職する理由を考えてほしい。

もし、転職する理由が「成長する環境」を求めているのであれば、次の職場でも自身の環境に不満を唱える可能性は高い。

PT・OT・STは75歳まで今の働き方が可能か?

高齢化の進展が半端ない。

先進国で2000年以降に生まれた子供たちの半数以上が、105歳以上まで生きる

2060年の平均寿命が女性で90歳後半、男性で80歳後半である

と予想されている。

特に、日本は救急医療とリハビリテーションが発達し、さらに、今後は健康増進分野の充実も図られていく。

そのため、長寿化は益々進むだろう。

しかし、厳しいことに年金の財源である社会保障費がひっ迫している。

そのため、生活費を維持するために多くの国民が高齢者になっても、仕事を続けなければならない状況となる。

2060年には70歳~80歳ぐらいまで働くことが常識になるだろう。

PT・OT・STの仕事は、肉体労働でもあり、感情労働でもある。

医療機関に勤めるセラピストは一日18単位の取得

訪問リハビリに勤めるセラピストは一日6件の訪問

を標準化されているだろう。

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しかし、冷静になって考えてほしい。

70歳以上でもその働き方できるだろうか?

体力的にも、感情的にもそのような働き方がいつまでできるのか?

現在のPT・OT・STのキャリアデザインは、20代から40代を対象にしているが、今後は高齢者PT・OT・STのキャリアデザインが大きな課題となる。

70歳以上になってもどのようにして働いていくのか?

別の視点で言い換えると、肉体労働や感情労働をしなくても仕事を継続していくスキルを若い頃から培っているか?と言える。

体を動かすこと・感情を抑制するスキルだけを養っていても、高齢者になった時にそのスキルは陳腐化していく。

よって、高齢者になっても社会や組織に貢献できるスキルを若いうちから考えなければならい。

 

 

 

なりたい姿が見えれば自ずとキャリア開発は始まる

なりたい姿が見えれば、自ずとキャリア開発は始まる。

これは、キャリアデザインにおいて非常に重要な原理原則となります。

皆さんは、「ご自身のなりたい姿」は見えていますか?

「なりたい姿」が明確になることによる効果は絶大です。

なぜならば、「なりたい姿」が見えれば、現在の自分の立ち位置が明確になるからです。

つまり、現在の自分の立ち位置が見えない理由は、「なりたい姿」が明確でないことが挙げられます。

なりたい姿から現在の自分を引きます。

そうすれば、必然的に自身に足りない知識・経験が明確になります。

つまり、スキル・知識のギャップが明確になります。

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スキル・知識のギャップが明確になれば、そのギャップを埋めるための行動を行いやすくなります。

キャリア開発を行うための第一歩は、「なりたい自分」の明確化と言えるでしょう。

「なりたい自分」を明確にするためには、仕事や人生に対する価値観や自身の興味や関心を注意を向ける必要があります。

自身の価値観に関しては下記の記事を参考にしてください。

スーパー理論「自己概念」

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の人は、非常にまじめで様々な自己啓発や自己研鑽を行っています。

ただ、その自己啓発や自己研鑽が、「なりたい自分」になるためのものなのか?を冷静に判断する必要があります。

自己啓発・自己研鑽は手段ではなく、目的ではありません。

「なりたい自分」が見えていますか?

今一度、考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

認知の歪が、PT・OT・STのキャリア開発を阻害する

アーロン・ベックが開発した認知療法では、「人間の認知が行動や感情に影響を与えている」と考えている。

つまり、「行動や感情の裏には認知がある」ということである。

キャリアカウンセリングでは次のような言葉がクライアントから聞かれることが多い。

理学療法士という仕事は将来性がなく、今後続ける価値もない

学会発表をしていないから自分は全く優秀ではない

作業療法士の賃金が下がってきていると聞いたので、この仕事はもう価値がないですね

言語聴覚士は理学療法士、作業療法士と比較して職域が狭いので今後やっていく自信がありません

修士号を取得したので、もうこれからは安泰だと考えています

これからのことはすべて「認知の歪」である。

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認知の歪みには、6つの例があり、「ベーシック・ミステイク」と呼ばれている。

6つのベーシック・ミステイク
1.選択的抽出  文脈の中から一部だけを取り出し、全体の状況は把握せずに判断すること

2.恣意的推論  証拠がない、あるいは正反対の証拠があるにもかかわらず、否定的な結論を出してしまうこと

3.過度の一般化 一部分だけを取り上げて、すべての事柄に当てはめる

4.拡大解釈や過小評価 失敗の拡大解釈、成功の過小評価

5.自己関連付け わずかな情報を自分に関連付ける

6.分極化思考 白か黒か、両極端に考えること

殆どの人は、ベーシックミステイクの罠にはまっている。

認知が歪んでいると行動に相当な制限がかかる。

こんなことをしても失敗するだろう
こんなことをしたら周りから嫌われるだろう
周囲からバカにされるなら、行動を起こさないでいよう

このように行動が制限されると、人生や仕事には変化が起こりにくい。

そうすれば、結局のところ、自分自身のキャリアは開発されずに、ずるずると同じ日々を繰り返していくことになる。

自らのキャリア開発の責任は自らにある。

よって、自らが認知の歪に気づかない限り、行動が惹起されることはない。

みなさんには、認知の歪はないだろうか?

今一度、考えていただきたい。

 

嫌なことを沢山経験するから本当にしたいことが見つかる

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の中には、「やりたいことがみつからない」という人が多い。

この「やりたいことがみつからない」現象は、キャリア開発の大きな障壁となり、次のような悪循環を招く。

やりたいことがみつからない
→何をして良いかわからない
→何も行動しない
→人との出会いや出来事が発生しない
→やりたいことがみつからない

つまり、やりたいことがみつからないという視点に囚われていると、永遠に「やりたいこと」と出会うことはできない。

世の中には、「やりたいこと」をして成功している理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は確かにいる。

脳血管障害の研究者でもある理学療法士
呼吸リハビリテーションの匠である理学療法士
認知症リハビリテーションに長けている作業療法士
応用的動作能力の改善に強い作業療法士
全身的にアセスメントができる言語聴覚士
高次脳機能障害や認知機能の研究者である言語聴覚士
など、自分のしたいことを「やりまくっている」セラピストは沢山いる。

路上に置かれたドア

それでは、この人たちは最初から、「やりたいこと」に出会うことができたのだろうか?

結論から言うと、最初からやりたいことに出会う人は皆無である。

「やりたいこと」を実践できている人は、多くの「やりたくないこと」を実践し、自分の価値観を研ぎ澄ましたうえで、「やりたいこと」にたどり着いている。

少し、哲学的に表現すると、「やりたいこと」は「やりたくないこと」が存在することで初めて成立すると言える。

したがって、「やりたくないこと」を経験しない人には「やりたいこと」との出会いはない。

幸いにも世の中や職場には「やりたくないこと」は、沢山存在している。

「やりたくないこと」に挑戦することで、自分自身の仕事や人生に対する価値観は磨かれていく。

現在、「やりたいことがみつからない」と悩んでいる理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の方はぜひ、職場に沢山転がっている「やりたくないこと」に挑戦してみてはいかがだろうか?

 

「他人の目が気になる」なんて、ばかばかしい

他人の目が気になる人が多い。

他人の目が気になって、自分のしたいことができない、発言したいことが出来ない人が多い。

他人の目が気になることの弊害は大きく、キャリアデザインにはマイナスの影響を及ぼすことが多い。

他人の目が気になるというのはどういう機序なのだろうか?

他人の目が気になるというのは実は本質をとらえた表現ではない。

他人の目に映る「自分」を気にしているが正しい表現である。

つまり、自分で自分を認めることが出来ないため、それを世間に公表したくないという一種の自己否定の心理が「他人の目を気にしている」と言うことである。

もう少し端的に表現すれば、「保身の心理」だと言える。

自分が取り組んでいること
自分が好きなこと
自分が考えていること
自分の人間性
などについて自己否定をすればするほど、他人の目が気になって仕方がなくなり、それらの事実を封印することで、心理的安定を図っている状態と言える。

では、果たして周囲の人はそれほどあなたに興味があるだろうか?

それほどあなたの行動に対して反応するだろうか?

多くの人は、あなたのことなんか考えていないし、みんな自分のことで精いっぱいである。

あなた自身も、他人の行動に逐一反応しているだろうか?

他人は自分が思うほど自分のことを考えてはいない。

そんなことばかり気にして無駄なエネルギーを使うのはもったいない。

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人間は忘れる動物である。

ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの発表した「エビングハウスの忘却曲線」によると20分後には42%忘れる
1時間後には56%忘れる
9時間後には64%忘れる
1日後には67%忘れる
2日後には72%忘れる
6日後には75%忘れる
31日後には79%忘れる
とのことである。

つまり、相当な出来事でない限り、周囲の他人があなたについて興味を示し続けることはないと断言できる。

キャリア・デザインは主体性が重要である。

自らの判断と決断で自分の人生を決めていくことが原則である。

もちろん、判断や決断のプロセスにおいては、自分の置かれている環境も配慮しなくてはならない。

しかし、そのプロセスは他人の目によってコントロールされるものではなく、自分自身の主体性で実行しなければならない。

他人の目を気にするなんてやめた方がいい。

それは、自己否定であり、保身である。

また、誤解を恐れずに言うと、誰もあなたにそれほど興味はない。

 

 

 

 

 

自分と向き合うことで「なりたい自分」は描くことができる

「なりたい自分」を描くことは、キャリア・デザインにおいて重要である。

しかし、多くの人にとって、「なりたい自分」を描くことは非常に難しいことである。

「なりたい自分」を描くためには、「なりたい自分」を描くことができる状況にならなければならない。

多くの人は、その状況になることができないため、「なりたい自分」を描くことができないのである。

では、その状況とはどのようなものなのか?

それは自分に向き合っている時である。

具体的には
自分で自分のことが嫌になっている時
悔しくてたまらない時
自分の未来が不安で仕方ない時
などである。

このような状態になければ、「なりたい自分」を描くことは難しい。

現実から目を背ける
自分の外にしか不満を向けない
周囲の状況に鈍感になっている

このような状態では、自分に向き合うことは難しい。

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自分に納得できない
自分で自分を否定する
自分の現状に心底、不安を感じる

こういったことに真剣に向き合ったときに、自分自身の未来を変えていくエネルギーが生まれてくる。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は医療機関や介護事業所に勤めており、自身の未来を勤め先に委ねている感覚を持っている人が多い。

また、国家資格を付与されているため、雇用が政府に保障されていると勘違いしている人も多い。

したがって、このような状況にある理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にとって、「なりたい自分」を描くことは難しい。

いつまでたっても、自分の未来が描けない、行動が起こせないことは現象であり原因ではない。

原因は、自分自身に向き合っていないことである。

 

 

 

起業という働き方
その2 自社の存在理由は何か?

起業には「志」が必要である。

その「志」が形になったものが「事業」である。

その「事業」が社会に受け入れられるかどうかは、その事業の「存在価値」の有無によって決まる。

存在価値とは
社会に役立つ経済的な価値を運に出すこと
である。

つまり、経済的な価値を生み出すことができなければ、その事業の存在価値は乏しいと言える。

社会への価値提供の源泉である商品やサービスの創出には、費用が必要である。

その価値を社会に販売した時に、多くの人が購入すれば、購入額と費用の差額、つまり利益が発生する。

提供する商品・サービスが社会に受け入れられることにより、売上が上がり収入が増えることは、社会がその商品やサービスを評価したと言える。

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訪問看護ステーション・通所介護・整体院などを開業するセラピストには儲かるから、売れるからという動機を持ったものが多い。

儲かればよい・売れれば良いという視点のみで、事業を興すと一時は儲かるかもしれないが、事業として長期間に渡り成立することは困難である。

また、
自分らしく生きるために、起業をしました
会社に勤めるより、起業がしたほうがおもしろい
という気持ちで起業をする人がいる。

この場合、起業は一時的に自己の内面を満たすかもしれないが、事業の存在意義を確立しなければ、経済的に困窮し、最終的に生活が崩壊する可能性が高い。

起業とは、「事業の存在意義を見出すこと」と言っても過言ではない。