PT大沼俊博の臨床家ノート 動作分析に基づく機能障害へのアプローチ例

脳血管障害片麻痺の方において、端座位保持能力を有し、立ち上がり動作の実用性にも大きな問題がない状況であるものの、歩行に実用性低下を認めておられる場合があります。

端座位において、体重移動や姿勢変化を伴う活動が可能であるならば、単純に麻痺側下肢の支持に関与する機能に障害を認めているのではないかと仮説が立ちます。

姿勢・動作観察に基づく検査・測定の実施により、麻痺側足部や足関節に関節可動域制限や筋緊張異常、感覚障害といった機能障害を認めたならば、それらが下肢の支持能力の低下につながっていることが明らかとなるでしょう。

そして足部や足関節の機能障害が、膝関節、股関節や体幹の肢位に影響を与えているならば、やはり機能障害の上位を改善することが、影響を受けている肢位の改善、これと共に歩行動作の改善につながると考えられます。

このような場合には、まずは足部や足関節機能の改善のためのアプローチが第一になることでしょう。

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脳血管障害片麻痺の方だから、体幹や股関節機能に低下があるだろうと考え、まずはそこからアプローチをしていくといった思考で治療を展開しますと、1単位などの短時間では運動療法がなかなか成立しなくなってしまうことが想像できます。

ピンポイントでの治療が能力低下を認める動作の実用性向上につながるならば、大変効率的な治療になることでしょう。

また、今回お示しをしている例を少し掘り下げてみますと、ピンポイントでの足部、足関節への治療にて、歩行の実用性に変化を認めるものの、他の部位の問題が改善しきれない場合も多々あります。

このような場合は、次の一手として問題が残存する部位へのアプローチをおこなうように努めています。

さらに、患者様には必要な自主トレーニングのメニューを適切にお伝えし、そして継続していければ、より良いアプローチになると考えられます。

動作分析とそれに伴う明確なアプローチの実践は、1単位の短い時間内でも、動作に変化をもたらすことが充分にできることでしょう。

運動学、解剖学的な観点から、養成校の学生の方々や新人セラピストの方々でも頷けて実践ができる明確な評価と運動療法を今後もおこなっていきたいと思っております。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部

 

PT大沼俊博の臨床家ノート 腰部の腸肋筋を感じる

今回は腰部の腸肋筋についてのお話です。

腰部の腸肋筋は骨盤と胸郭の間を走行している部位が触診しやすいかと思います。

まず側腹部を触診してみてください。

柔らかく感じる部位は腹横筋や内腹斜筋、外腹斜筋が重層している部位になります。

圧を加えて押しながら触るとブヨブヨした感触です。

そこから触診の位置を少しずつ後面にスライドさせていきますと、ブヨブヨした感触であったものが突如ガツっと硬く感じる筋に出会います。

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この硬く感じる部位が腰部の腸肋筋です。

両側の腸肋筋が収縮すると骨盤と胸郭の間を近づけ、体幹の伸展に関与します。

立位にて胸郭を一側に下制させますと体幹は側屈します。

この際、側屈してる側とは反対側の腸肋筋が制御に関与します。

これにより体幹側屈作用を有することがわかります。

また腸肋筋には体幹同側回旋作用があります。

骨盤と胸郭の間を逆『ハ』の字の方向で走行しています。

右の腸肋筋にて考えますと、胸郭に位置する腸肋筋の線維は、骨盤に近い腸肋筋の線維よりもやや右の外側に位置することになります。

そこで骨盤に対して胸郭を近づけるように収縮しますと体幹は右回旋方向への運動が生じることになります。

今回は腸肋筋を感じることのできる触診部位と運動学についてご紹介をさせて頂きました。

引き続き臨床家ノートにて腸肋筋についても運動学的、解剖学的観点から臨床に役立つお話をさせて頂きたいと思っております。

ご参考になさってください。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
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PT大沼俊博の臨床家ノート 直立位での内腹斜筋、外腹斜筋の活動について

以前のお話のなかで、立位では両側の腸骨稜を結ぶ線より下部の内腹斜筋横線維の活動が、両側の仙腸関節に生じる剪断力を防ぐ作用への制御、また立位にて腹腔内臓器が重力の影響を受けて下がろうとする働きの制御の双方に関与することへの可能性をお伝えさせて頂きました。

今回は直立位における両側の腸骨稜を結ぶ線より上部の領域の内腹斜筋、外腹斜筋について考えていきたいと思います。

直立位では、脊柱の生理的弯曲を保つための脊柱起立筋の活動により、体幹の肢位保持が可能になると考えられます。

腹筋の活動は直立位において必要なのですが、両側の腸骨稜を結ぶ線より上部の内腹斜筋、外腹斜筋はそれほど頑張りません。

直立位保持のために一定の筋緊張を保つ程度でよいことが、わたしたちの直立位時の内腹斜筋、外腹斜筋の筋活動に関する検討からわかりました。

直立位では主として脊柱起立筋の活動により、生理的な脊柱の弯曲を伴う体幹の姿勢保持が可能になると考えられます。

この際に、腹直筋や内腹斜筋、外腹斜筋の筋緊張が低い場合には、腰椎の前弯が強まってしまい、胸郭と骨盤の間が離れてしまう。大げさに例えますと破けたちょうちんが開いてしまうような感じになることが考えられます。

または腹部の筋が従重力位で短縮位となることで腰椎や胸腰椎移行部にて屈曲が生じ、胸郭と骨盤の間が前面で近づくことが考えられます。

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現在の見解として、直立位では両側の腸骨稜を結ぶ線より上部の内腹斜筋、外腹斜筋は一定の筋緊張を保つ程度のわずかな活動でよいと考えています。

臨床での評価を考えますと、体幹では脊柱の生理的弯曲が保たれていることにより、腹部は見た目にも張りがみられます。

このときに胸郭と骨盤の間が離れすぎていないか、または胸郭と骨盤の間が近づきすぎていないかの確認をし、内腹斜筋、外腹斜筋の筋緊張を視診、触診にて評価しています。

まとめますと、直立位においては両側の腸骨稜を結ぶ線より上部の内腹斜筋・外腹斜筋は、胸腰椎の生理的弯曲が保たれることに伴い、一定の筋緊張を維持できていることが大切であり、その筋の領域の張りを見た目や触診にて確認し、評価をおこなう必要があると考えています。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
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PT大沼俊博の臨床家ノート 姿勢・動作分析から行う感覚検査のひと工夫

我々が臨床にて感覚検査を実施するまでの流れとして、姿勢・動作分析を行い、そのうえで抽出した感覚障害の仮説に対して検査を実施するプロセスがあります。

今回も脳血管障害片麻痺患者さんの特徴的な姿勢・動作観察から考えられる感覚障害に対する検査の抽出例をお示しさせて頂きます。

脳血管障害片麻痺患者さんの端座位において、非麻痺側の殿部に多く支持をすることで、非麻痺側に身体が傾斜している場合、麻痺側殿部の表在感覚障害が一要因として疑われます。

この際の立ち上がりでは座位姿勢を考慮しますと、非麻痺側下肢支持優位での立ち上がりにつながることが考えられます。

このとき、『座面に麻痺側の殿部が触れていることがわかりにくい?殿部で荷重していることがわからない?』と仮説を立てることがてきます。

セラピストは必要と感じるならば殿部の表在感覚検査を実施しても良いと考えられます。

患者さんに個室にてズボン、下着をおろして頂き、殿部の素肌に対して触覚検査を実施することができればよいですが、なかなかうまくお願いできない場合があるかと思います。

この際にはスクリーニングとして、背臥位にて両膝を立てた肢位をとり、ズボンや下着の上から患者さんの殿部に対し、セラピストの母指にて坐骨に触れる直前まで母指を押し込み、圧覚検査を実施することができます。

このスクリーニングによる検査において、再評価時にも同様の条件となるように留意し、再現性のある検査の実践ができればよいでしょう。

姿勢・動作分析に基づく感覚検査では、姿勢保持や目的とする動作を困難にしている意味を理解し、運動療法につなげるために検査を実施していきます。

柔軟な発想をもって日々の臨床を進めていければと考えています。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
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PT大沼俊博の臨床家ノート 姿勢・動作分析(その2)

脊椎の疾患や加齢によって胸腰椎の伸展に関与する多裂筋や最長筋に筋緊張低下を認める場合、胸腰椎移行部や腰椎が屈曲位になる場合があります。

このような肢位が長期にわたると胸郭と骨盤の間を前面に走行する腹直筋上部や外腹斜筋斜行線維は短縮位となり、おのずと筋緊張低下や筋短縮を認めることでしょう。

今回は体幹が屈曲位を呈する際の立位姿勢について考えてみたいと思います。

体幹が屈曲位であると胸郭や頭部が前方に倒れようとします。

これに対して膝関節屈曲と共に足関節を背屈することにより、膝関節から上部は後方に傾斜することで、体幹が前方に倒れようとする働きを防ぐことが考えられます。

こういったストーリーを考えた場合、胸腰椎の伸展筋である多裂筋や最長筋の活動を促すことで、膝関節の屈曲やこれに伴う足関節の背屈が減少し、直立位保持が可能になります。

一生懸命姿勢を改善しようとして膝関節や足関節にアプローチをおこなっても問題解決にはならないケースです。

診断名からも体幹に問題があることが明確であり、立位姿勢に影響を与えている場合、シンプルに体幹へのアプローチをおこなうことで姿勢の改善につながるといった単純なお話をさせて頂きました。

明日からの臨床の考え方のご参考にして頂ければ幸いです。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
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PT大沼俊博の臨床家ノート 腰部の多裂筋を感じる

今回は腰部の多裂筋を身近に感じて頂くためのお話です。

腰部の多裂筋は、L3、L4あたりの棘突起を触れ、そこから側方へ3cmくらい指をスライドさせた位置にて触診ができます。

ではさっそく収縮を感じてみましょう。

リラックスして座っている状態から腰椎を伸展してみて下さい。

触診部位にて電気コードを触れている様な硬さを感じる事がてきれば、多裂筋が収縮しています。

つぎに、立位にて多裂筋を触診し、腰椎から右側に体幹を傾斜させてみて下さい。

右側の多裂筋は従重力により筋肉は短くなると共に筋緊張は低く感じて頂けるでしょうか。

これに対して左側の多裂筋は腰椎からの右側屈に伴う体幹の右傾斜を止めようとしているため、硬く感じることでしょう。

さらに、多裂筋を感じるために、立位にて腰部の多裂筋を触診し、腰椎から体幹右傾斜、左傾斜をリズミカルに繰り返してみて下さい。

傾斜側の多裂筋の緊張は低く、非傾斜側の多裂筋の緊張は高くなる切り替わりが良くわかるかと思います。

臨床的には腰椎の伸展や側屈時に筋収縮を感じやすい腰部の多裂筋、評価時の一助にして頂ければ幸いです。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
oonuma
六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
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PT大沼俊博の臨床家ノート 内腹斜筋と外腹斜筋の謎 (その4)

ー立位では骨盤内の内腹斜筋横線維のエリアが背臥位よりも硬くなる?ー

前回は、立位において、内腹斜筋の横線維が仙腸関節に生じる剪断力を防ぐ作用と、腹腔内臓器が重力の影響を受けて下がろうとするはたらきの制御に関与している可能性をお伝えさせて頂きました。

これは筋電図学的検討によるものです。

この結果をもとに、臨床では骨盤内の内腹斜筋横線維のエリアへの触診にて、筋活動を確認してきました。

また自分の臨床において、腹部を評価していくなかで以下のことを感じていました。

背臥位では骨盤内腹部は平坦であり、立位になると骨盤内腹部は少しふっくらすると共に触診ではわずかに硬く感じる。

硬く感じる?硬く感じませんか??

立位で内腹斜筋の横線維が活動しているのだから...。

触診したら収縮して硬く感じていると思うんだけど...。

しかしこれはあくまでも主観的な捉え方です。

基本的に立位での内腹斜筋横線維への触診では、筋収縮に伴い触っている部位を硬く感じていると考えていました。

ほんとうに硬く感じていると考えて良いのか、また硬さに変化があるならば、筋活動を反映するものだけで考えて良いのか?

そこを明確にして客観的なデータから臨床場面でものを言ってくためにはどうすれば良いか。

わたしたちは組織硬度計を用いて背臥位と立位において、内腹斜筋の横線維の活動を反映する部位(上前腸骨棘の下方2cmの水平線上内側)にて硬さに変化があるかの検討をおこないました。

結果は??

予想をしていた通り各被験者において、内腹斜筋の横線維のエリアの硬度が背臥位よりも増加を認めました。

考察をおこなうにあたり、組織硬度計について勉強を深めていくうえでこの結果の理由についてはいくつかの要因が考えられました。

次回は本結果に関する解釈についてお話をさせて頂きたいと思います。

ありがとうございました。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
oonuma
六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
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PT大沼俊博の臨床家ノート 内腹斜筋と外腹斜筋の謎 (その3)

前回のお話で、立位では骨盤内の内腹斜筋横線維の活動が増大する1つの要因として、仙腸関節に生じる剪断力を防ぐ作用があるという可能性についてお話をさせて頂きました。

今回は、2つ目の要因のお話です。

矢状面からみた立位姿勢を思い浮かべてください。

体幹は見た目は直立ですが、よくよく観察しますと生理的な腰椎の前弯に伴って骨盤はわずかに前傾しており、股関節は屈曲位を認めることがあります。

これに伴い腹部はやや膨隆しているように見えませんでしょうか。

背臥位では平坦に見える腹部ですが、立位にて矢状面から観察しますと少しふっくらとした感じが増します。

その要因として、腹腔内の臓器は重力の影響を受けて下がろうとする働きが生じると考えられます。
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そこで内腹斜筋横線維の出番です。

立位において腹腔内臓器が下がろうとする働きへの制御にも内腹斜筋横線維が関与しているのではないかと考えています。

内腹斜筋横線維の趣を感じる役割です。

明日からの臨床における評価の考え方としてご参考にして頂けましたら幸いです。

立位にて内腹斜筋横線維は活動が増大しますが、その要因を以下に整理させて頂きます。

1. 直立位では両下肢支持に伴い、両大腿骨頭と両臼蓋を介して両寛骨には床からの反力がかかり、これと共に仙骨では脊柱を介して胸郭、頭部、両上肢の重みにより床面方向へ下げられようとする力が生じると考えられる。これにより両側の仙腸関節では剪断力が働いていると考えられるため、内腹斜筋横線維がその剪断力を防ぐ作用として関与する。

2. 立位にて腹腔内臓器は重力の影響を受けて下がろうとする働きが生じることが考えられ、内腹斜筋横線維はその制御にも関与している可能性がある。

 

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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PT大沼俊博の臨床家ノート 起き上がり介助とトランスファー介助

今から約25年程前のお話です。

私が高校生の頃、母親が脳出血を発症し、左片麻痺となりました。

急性期病院に入院し、その後リハビリテーション目的にて他院に転院し、そして在宅生活に戻りました。

母の身体は左片麻痺により、麻痺側は随意性が無く、日常生活は全介助レベルでした。

当時は介護保険制度がなく、在宅生活はすべて家族による介護を余儀なくされました。

トイレがしたいと母が希望すれば、私も父も母をベッドから全介助で起き上がらせ、座位保持がままならない状況から全介助で立ちがり、下衣と紙パンツを下げて、ポータブルトイレへトランスファーを行なっていました。

用を足すと下衣と紙パンツを履き、ベッドに移乗する。

また食事の際には車椅子に全介助でトランスファーをする。

1日のなかでこのような動作が繰り返されました。

父も私も起き上がりやトランスファーの方法がわからないまま、力任せに介助をしていたと思います。

振り返って考えますと、体幹や股関節の屈曲可動域がが少ないにも関わらず、ベッド上で長座位を経由して起き上がったり、立ちがりの後は、下肢がクロスしたまま母が履いているズボンを掴んで引っこ抜くようにしてトランスファーを行うこともしばしばでした。

本人からは痛い痛いという声も…。

しかし方法がよくわからないのです。

運動学や解剖学の知識も無く、闇雲の中で介助をしていたのですから無理もありません。

その数年後、母がお世話になった理学療法士の先生方に我々家族が救われたことをきっかけに、私は理学療法士になりました。

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理学療法士として仕事をさせて頂くなかで、脳血管障害患者さんの急性期の方や慢性期の方、股関節や脊椎の手術後の方など、様々な疾患の方の起き上がりや座位保持、トランスファーを促していく経験をさせて頂きました。

おひとりで起きれそうで起きれない片麻痺患者さんに、30°ほどのギャッジアップをしてベッド端から両下肢を下ろすと、ベッド柵を非麻痺側で把持する共に肘支持、手支持に移行して起き上がれたりします。

疾患の特徴を理解したうえで、立ち上がりや立位、立位での側方への体重移動、ステップ動作の運動学を理解していれば、トランスファーにおいて適切な介助につながることもよくわかりました。

あれから25年が経った今、患者さんの疾患や症状に応じ、リハビリテーション室だけの世界に留めず、ご家族やサービスに携われる看護師、介護士の方々と共に患者さんに必要な介助をこれからも勉強させて頂きたいと思っています。

今回、株式会社Work Shift主催、在宅リハビリテーション・ケアスクール 高槻にて、在宅系のセミナーを大沼がさせて頂くことになりました。 

私がセラピストになる前に困った体験や理学療法士として勤めてからの経験を通して、介護に関わる方々に即役立つセミナーにしたいと考えております。

2018年4月25日(木)ナイトセミナー 在宅環境で学ぶ!ベットから車椅子・ポータブルトイレへのトランスファー技術
https://ptotst-mirai-mission.net/seminar/?id=35

2018年5月17日 (木)  ナイトセミナー 在宅環境で学ぶ!重度者のトランスファー~背臥位 上下左右移動・寝返り・起き上がり~
https://ptotst-mirai-mission.net/seminar/?id=43

2018年5 月20日(日)在宅環境で学ぶ!屋内移動能力の評価と介入~床からの立ち上がり、車椅子からベッド移乗、階段昇降~
https://ptotst-mirai-mission.net/seminar/?id=46

宜しくお願い致します。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
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PT大沼俊博の臨床家ノート 姿勢・動作分析 (その1)

脳血管障害片麻痺患者さんへのアプローチを行う際、姿勢・動作分析は必須の条件となります。

今回は立位姿勢を矢状面から特化して観察した際のお話です。

麻痺側足関節が背屈可動域制限により、底屈位を余儀なくされている患者さんがおられるとします。

足関節が底屈位で足底接地をしている場合、下腿は後傾します。

下腿が後傾している状況にて膝関節が屈曲しますと後方へ倒れてしまいますので、決してそのような肢位はとらないでしょう。

そこで膝関節は伸展位となります。

下腿が後傾して膝関節が伸展位、これにより大腿を含め下肢自体が後方に傾斜しています。

このときに股関節の肢位はどうなるでしょうか?

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股関節屈曲伸展中間位ですと、そのまま後ろに倒れようとします。

そこで必然的に股関節は屈曲位になると後ろに倒れなくてすみます。

股関節が屈曲位でありますと、骨盤を含む体幹は前方に傾斜します。

これに対し胸腰椎移行部を伸展させて後方へ立ち直り、姿勢保持を成立させるというストーリーが考えられます。

今回のお話では機能障害の1番は足関節の背屈可動域制限となります。

脳血管障害片麻痺患者さんではもちろん膝関節や股関節、体幹にも機能障害が考えられることでしょう。

しかしながら上記の状況から解釈を進めた場合、足関節からアプローチを行わないと立位姿勢の改善にはつながらないことになります。

姿勢・動作分析において問題点のストーリーを考え、問題点の上位に対してアプローチを実践いくことが臨床では必須になると考えています。