PT山口剛司の臨床家ノート 足部のみかたシリーズ その2

足部の評価をする際は、接地した状態と接地していない状態での評価を行います。

他の関節も同様なことがいえますが、とりわけこの足については、地面から最も近い部位だけに、荷重により大きな負荷がかかります。

そしてこの負荷は、足の形を変える要因となります。

足の形が変わるということは、必ずしも異常ではなく、必要に応じて形を変えられることが正常なのです。

異常性は、荷重により形が変わりすぎる場合、とほとんど変わらない場合で判断します。いずれも定量化できる指標はあるようで、実はありません。

しかしながらこれは、身体動作と足の形の関連性で判断することができます。

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例えば、扁平足が悪いと思われがちですが、そんなことはありません

扁平足は荷重により、各アーチが降下する足の状態をいいますが、姿勢全体が安定しており動作が円滑に遂行されている場合は、多々あります。

この場合は、アーチが降下していることは機能的な変形をしていると捉えて良いでしょう。

ただし、扁平足は柔らかい足という特性があるため、過渡に回内や回外運動をして形を大きく変化させる可能性があります。

この場合は、異常性があると捉えます。

逆に凹足が悪いとされることも多々あります。

凹足は、形が変わりにくい性質があるので、地面に対して足の形を変えて柔軟に対応できないということがあります。

この場合は、一見足の形は、綺麗に見えますが、姿勢を良い状態に保てずに、足の形を変えられないということで異常性ありと判断します。

このように足はただアーチがあれば良いという短絡的な考えに陥ってしまうと、なんでもインソールやテーピングを貼って、足を無理やり操作することによる障害を招く危険性があります。

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister
98350

理学療法士
運動器疾患、スポーツ選手の臨床が豊富で、現在はインソール作成会社に勤務している。

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。

PT大沼俊博の臨床家ノート 多裂筋の触診の仕方

腰部の多裂筋の収縮を促す際のポイントのご紹介です

①端座位にて股関節屈曲に伴ってある程度骨盤を起こしてもらいます

②そこから、 『おへそを前に突き出して下さい!』 とお願いする

③腰椎前弯を伴った腰部の多裂筋の収縮を促す事ができる

④電気のコードのような硬さの収縮を触診からはっきりと確認できる

 

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部

PT山口剛司の臨床家ノート 足部のみかたシリーズ その1

セラピストにとって、患者の『足』を触る機会は、少なからず一日に一回以上は、あるのではないでしょうか?

セラピストが足を触る理由は、その目的によって様々ですが、ただ硬いからとか、何となくと思って触るよりも、『触ることでどうなるか』、を化説レベルで良いので、自分の頭の中で、明確にしておくことが重要です。

これは、足に関わらず、他の身体部位でも、何関節・何筋を触る時でも同じことが言えますし、おそらく熟練のセラピストほど、明確に目的を持って接触していると思います。

では、この『足』を触る意味を考えてみましょう。

私が足を触る理由は、①足に疾患を持つ場合、②足で身体運動をコントロールする場合、という二つに大別されます。その他にも色んな考え方がある中で、例えば反射区を用いて内蔵系の調整をしたり、全身の骨格調整をしたりすることもあるかもしれません。

私は、臨床において後者②の足の疾患以外の方を、足を用いて身体運動をコントロールして、身体のある部分に過負荷がかかるのを分散する考え方を大事にしてきました。

これは、『治療』という概念のみでなく、そこから更なるパフォーマンスの向上にもつながる可能性があるからです。

なぜ足でコントロールができるのかと申し上げますと、唯一地面に接しているのは、足のみで、この使い方により、動きが連鎖的に全身にまで作用するという法則があるからです。

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これを『運動連鎖』とよびますが、中でも足から全身に作用する連鎖を上向性運動連鎖と呼びます。この連鎖の法則は、古くからテキストに記載されており、この法則を見抜いた先人の学者には、ただただ尊敬する次第であります。

臨床において、足はどうしても見逃しやすい部位といっても過言ではありません。

しかしながらまずは、足からの身体運動の調整という観点を、是非取り入れてみてください。

今後は、この足の診かたを少しずつご紹介していきたいと思います。

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister
98350

理学療法士
運動器疾患、スポーツ選手の臨床が豊富で、現在はインソール作成会社に勤務している。

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。

 

PT大沼俊博の臨床のノート ベッドからの起き上がり動作

今回は腰部の手術後の方についてのお話です。

術後まもなくの運動療法では離床のために、起き上がり、座位保持、車椅子へのトランスファーや歩行器歩行を行なっていきます。

術後において、患者さん自身にてトイレで用を足すことは、ご本人様や支援をさせて頂くスタッフにとっては早期から獲得したい動作です。

腰椎を固定するような術後では、硬性のコルセットを装着され、体幹は動かさない条件にて起き上がりを考えていくことになります。

術前においても術後を想定し、腰部に負担が無いような起き上がりや立ち上がり方、歩行器歩行、トイレ動作の練習を実施しておきます。

そのうえで術後の離床場面におきましては、患者さんの痛みの症状をお伺いし、セラピストも丁寧に配慮をしなから起き上がりを誘導していきます。

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『腰に負担と痛みがなく、ゆっくり、ゆっくりと…。』

心のなかでこう思いながら電動ベッドを少しずつ起こしていきます。この時、患部に痛みがないか、慎重に気を配る必要があります。

ギャッジアップを適宜30度〜40度ほどおこない、痛みが無ければそこから下腿をベッド端から降ろしていくことにつなげます。

起き上がる側の股関節を外転、反対側の股関節を内転、これをちょこちょこと繰り返し、両側の下腿を少しずつベッド端から降ろします。

その上で患者さんにはベッド柵を掴んで頂き、そこからセラピストは患者さんの後頭部や肩甲帯あたりから股関節屈曲などの運動をサポートすると共に、患者さんの殿部での支持に移行して頂き、端座位になります。

この時が一番緊張しますが、患者さんから『大丈夫…。いけるっ。』と言って頂いた際には、こちらも気持ちがふっと楽になります。

最初は痛みに応じて座位保持練習を行い、そのうえでベッド柵を掴みながらでも立ち上がることができれば歩行器歩行や伝い歩きにつながり、離床に向かうことになるでしょう。

今回は、腰部の術後の離床を目的とした起き上がり場面において、私がいつも緊張するひとコマをご紹介させて頂きました。

臨床での起き上がり方のご参考になさって頂ければ幸いです。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部

PT大沼俊博の臨床家ノート 運動療法の工夫

立位練習の際のお話です。

立位をとると、股関節の屈曲筋・伸展筋の筋緊張低下や股関節の深部感覚障害が主たる機能障害であることにより、股関節屈曲に伴い体幹が前傾し、いわゆる前かがみになってしまうケースの運動療法を経験させて頂きました。

このような場合、立位での動作において、股関節屈曲に伴って前方に頭部から転倒傾向を認めたり、股関節屈曲と共に足関節が底屈し、後方に尻もちをつきそうになる危険性がありました。

「まずは股関節を伸展方向に誘導して直立位を保持できるように練習したい。」という思いにて身体に触れてハンドリングを試みたり、口頭指示を入れてアプローチを行おうとしました。

しかし恐怖心を感じてしまい、なかなか治療介入が難しいのです。

どうすれば自分で直立位保持ができるかな?

わたしが前方から両手を差し出し、両手を軽く支持してもらうなかで股関節を中間位方向へ誘導しようとしても、「怖い...。」と首を振られます。

患者さんの背後にまわり、胸部を後方に、これと共に殿部をわたしのお腹あたりから前方に誘導することで股関節の伸展運動を誘導しようと試みました。

これもなかなか難しい…。

『なんとか怖がらず、立位で股関節屈曲・伸展筋の筋緊張を改善できないものか。』

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そこでふと視点を変え、高さを変化できる治療台を患者さんのおへその高さくらいにあわせて前方に置きました。

目の前に動かない治療台があり、身体を治療台に少し預けることができるため、視覚的にも安心感を持たれたようです。

最初は両手で治療台を支持しながら腹部も治療台に接触してもらう。そこから両肘関節の伸展と共に股関節を伸展方向に誘導…。

うまくいきました。そして徐々に両手の支持を減らして頂き、股関節屈曲、伸展中間位保持が可能になると共に、治療台から手支持や腹部での支持をはずすことができました。

あわせて股関節屈曲・伸展筋の静止性の活動が得られていることを確認できたのです。

これに伴い立位保持の安全性向上につながり、さらには一側上肢のリーチ動作や、両上肢の活動につなげることができました。

恐怖心があるような症例で、治療がうまくいかなかったことに対して、動かない治療台を前方に配置することで股関節へのアプローチが可能となった例です。

運動療法時の環境設定の工夫は、患者さんの能力を引き出すためには大変大切になることを痛感しました。

明日からの運動療法に、ひと工夫を考えてみてはいかがでしょう。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部

 

PT大沼俊博の臨床家ノート 運動学、解剖学で考える運動療法

臨床において、患者さんへの介助や運動の誘導に関して、運動学、解剖学的に考えていくと、自分の評価と運動療法の内容が明確になることをよく経験します。

脳血管障害片麻痺患者さんの立ち上がりにおいて、殿部離床を経て直立位を迎えることが困難な場合があります。

麻痺側の大腿四頭筋の筋緊張低下を認めることで膝関節の伸展運動が困難となり、わずかな殿部離床後に尻もちをつくように再び座位に戻ってしまうようなケースです。

適宜患者さんの麻痺側の膝に対してセラピストの膝をあてることで膝折れを防ぎ、これと共に麻痺側の腋窩から引き上げることや、患者さんのズボンのウエスト部分をつかませて頂き、ズボンを引き上げることにより膝関節の伸展運動に伴う殿部離床、その後の股関節伸展運動の誘導を行うことがあります。

臨床で何気に行っている運動の誘導や介助をよくよく考えていきますと、運動学、解剖学的に全て意味をもつものになっていることを感じます。

上記はわずかな例ですが、臨床において、自分が患者さんに触れて行っている誘導や介助について、運動学、解剖学的観点から同僚や学生さんに解説することで、セラピストとしての思考が明確になります。

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曖昧な説明になっているときは、評価とアプローチもおそらく不明確になっているでしょう。

できるだけ曖昧にならないように、養成校で学んだ基礎知識を運動療法に落とし込むことの重要性を大切にし、臨床にフル活用していければと考えています。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部

PT大沼俊博の臨床家ノート 姿勢観察においてストーリーを立てる

今回お示しをしている図は、立位を矢状面から見たものです。

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足関節周囲の機能障害に伴い、背屈位を余儀なくされているとします。

足関節の問題が明確になっている場合、ここから運動学的にどのようなストーリーをもって姿勢保持がなされているかを考えてみたいと思います。

この場合、足関節背屈に伴って下腿が前傾していますが、もしもこの状態にて膝関節が伸展すると前方に倒れることが考えられます。

そのため、膝関節を屈曲させますが、大腿、骨盤、体幹は後方に傾斜し、後ろに倒れようとする働きが生じると考えられます。

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これに対して胸腰椎移行部の屈曲は姿勢保持に一役買っているものと思われ、必要な運動になります。

足関節周囲の機能障害が診断名や姿勢分析、検査測定に基づき明確であれば、このような例では膝関節や体幹から治療するのではなく、足部・足関節から治療をおこなうことが妥当となることでしょう。

姿勢・動作観察において、ストーリーを立てたうえで治療につなげることにより、明確な評価に基づく運動療法の実践につながると考えられます。

明日からの臨床のご参考にして頂ければ幸いです。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
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関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部

PT大沼俊博の臨床家ノート 動作分析に基づく機能障害へのアプローチ例

脳血管障害片麻痺の方において、端座位保持能力を有し、立ち上がり動作の実用性にも大きな問題がない状況であるものの、歩行に実用性低下を認めておられる場合があります。

端座位において、体重移動や姿勢変化を伴う活動が可能であるならば、単純に麻痺側下肢の支持に関与する機能に障害を認めているのではないかと仮説が立ちます。

姿勢・動作観察に基づく検査・測定の実施により、麻痺側足部や足関節に関節可動域制限や筋緊張異常、感覚障害といった機能障害を認めたならば、それらが下肢の支持能力の低下につながっていることが明らかとなるでしょう。

そして足部や足関節の機能障害が、膝関節、股関節や体幹の肢位に影響を与えているならば、やはり機能障害の上位を改善することが、影響を受けている肢位の改善、これと共に歩行動作の改善につながると考えられます。

このような場合には、まずは足部や足関節機能の改善のためのアプローチが第一になることでしょう。

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脳血管障害片麻痺の方だから、体幹や股関節機能に低下があるだろうと考え、まずはそこからアプローチをしていくといった思考で治療を展開しますと、1単位などの短時間では運動療法がなかなか成立しなくなってしまうことが想像できます。

ピンポイントでの治療が能力低下を認める動作の実用性向上につながるならば、大変効率的な治療になることでしょう。

また、今回お示しをしている例を少し掘り下げてみますと、ピンポイントでの足部、足関節への治療にて、歩行の実用性に変化を認めるものの、他の部位の問題が改善しきれない場合も多々あります。

このような場合は、次の一手として問題が残存する部位へのアプローチをおこなうように努めています。

さらに、患者様には必要な自主トレーニングのメニューを適切にお伝えし、そして継続していければ、より良いアプローチになると考えられます。

動作分析とそれに伴う明確なアプローチの実践は、1単位の短い時間内でも、動作に変化をもたらすことが充分にできることでしょう。

運動学、解剖学的な観点から、養成校の学生の方々や新人セラピストの方々でも頷けて実践ができる明確な評価と運動療法を今後もおこなっていきたいと思っております。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
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株式会社WorkShift セミナー事業部

 

PT大沼俊博の臨床家ノート 腰部の腸肋筋を感じる

今回は腰部の腸肋筋についてのお話です。

腰部の腸肋筋は骨盤と胸郭の間を走行している部位が触診しやすいかと思います。

まず側腹部を触診してみてください。

柔らかく感じる部位は腹横筋や内腹斜筋、外腹斜筋が重層している部位になります。

圧を加えて押しながら触るとブヨブヨした感触です。

そこから触診の位置を少しずつ後面にスライドさせていきますと、ブヨブヨした感触であったものが突如ガツっと硬く感じる筋に出会います。

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この硬く感じる部位が腰部の腸肋筋です。

両側の腸肋筋が収縮すると骨盤と胸郭の間を近づけ、体幹の伸展に関与します。

立位にて胸郭を一側に下制させますと体幹は側屈します。

この際、側屈してる側とは反対側の腸肋筋が制御に関与します。

これにより体幹側屈作用を有することがわかります。

また腸肋筋には体幹同側回旋作用があります。

骨盤と胸郭の間を逆『ハ』の字の方向で走行しています。

右の腸肋筋にて考えますと、胸郭に位置する腸肋筋の線維は、骨盤に近い腸肋筋の線維よりもやや右の外側に位置することになります。

そこで骨盤に対して胸郭を近づけるように収縮しますと体幹は右回旋方向への運動が生じることになります。

今回は腸肋筋を感じることのできる触診部位と運動学についてご紹介をさせて頂きました。

引き続き臨床家ノートにて腸肋筋についても運動学的、解剖学的観点から臨床に役立つお話をさせて頂きたいと思っております。

ご参考になさってください。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部

PT大沼俊博の臨床家ノート 直立位での内腹斜筋、外腹斜筋の活動について

以前のお話のなかで、立位では両側の腸骨稜を結ぶ線より下部の内腹斜筋横線維の活動が、両側の仙腸関節に生じる剪断力を防ぐ作用への制御、また立位にて腹腔内臓器が重力の影響を受けて下がろうとする働きの制御の双方に関与することへの可能性をお伝えさせて頂きました。

今回は直立位における両側の腸骨稜を結ぶ線より上部の領域の内腹斜筋、外腹斜筋について考えていきたいと思います。

直立位では、脊柱の生理的弯曲を保つための脊柱起立筋の活動により、体幹の肢位保持が可能になると考えられます。

腹筋の活動は直立位において必要なのですが、両側の腸骨稜を結ぶ線より上部の内腹斜筋、外腹斜筋はそれほど頑張りません。

直立位保持のために一定の筋緊張を保つ程度でよいことが、わたしたちの直立位時の内腹斜筋、外腹斜筋の筋活動に関する検討からわかりました。

直立位では主として脊柱起立筋の活動により、生理的な脊柱の弯曲を伴う体幹の姿勢保持が可能になると考えられます。

この際に、腹直筋や内腹斜筋、外腹斜筋の筋緊張が低い場合には、腰椎の前弯が強まってしまい、胸郭と骨盤の間が離れてしまう。大げさに例えますと破けたちょうちんが開いてしまうような感じになることが考えられます。

または腹部の筋が従重力位で短縮位となることで腰椎や胸腰椎移行部にて屈曲が生じ、胸郭と骨盤の間が前面で近づくことが考えられます。

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現在の見解として、直立位では両側の腸骨稜を結ぶ線より上部の内腹斜筋、外腹斜筋は一定の筋緊張を保つ程度のわずかな活動でよいと考えています。

臨床での評価を考えますと、体幹では脊柱の生理的弯曲が保たれていることにより、腹部は見た目にも張りがみられます。

このときに胸郭と骨盤の間が離れすぎていないか、または胸郭と骨盤の間が近づきすぎていないかの確認をし、内腹斜筋、外腹斜筋の筋緊張を視診、触診にて評価しています。

まとめますと、直立位においては両側の腸骨稜を結ぶ線より上部の内腹斜筋・外腹斜筋は、胸腰椎の生理的弯曲が保たれることに伴い、一定の筋緊張を維持できていることが大切であり、その筋の領域の張りを見た目や触診にて確認し、評価をおこなう必要があると考えています。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部