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PT大沼俊博の臨床家ノート 内腹斜筋と外腹斜筋の謎 (その3)

前回のお話で、立位では骨盤内の内腹斜筋横線維の活動が増大する1つの要因として、仙腸関節に生じる剪断力を防ぐ作用があるという可能性についてお話をさせて頂きました。

今回は、2つ目の要因のお話です。

矢状面からみた立位姿勢を思い浮かべてください。

体幹は見た目は直立ですが、よくよく観察しますと生理的な腰椎の前弯に伴って骨盤はわずかに前傾しており、股関節は屈曲位を認めることがあります。

これに伴い腹部はやや膨隆しているように見えませんでしょうか。

背臥位では平坦に見える腹部ですが、立位にて矢状面から観察しますと少しふっくらとした感じが増します。

その要因として、腹腔内の臓器は重力の影響を受けて下がろうとする働きが生じると考えられます。
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そこで内腹斜筋横線維の出番です。

立位において腹腔内臓器が下がろうとする働きへの制御にも内腹斜筋横線維が関与しているのではないかと考えています。

内腹斜筋横線維の趣を感じる役割です。

明日からの臨床における評価の考え方としてご参考にして頂けましたら幸いです。

立位にて内腹斜筋横線維は活動が増大しますが、その要因を以下に整理させて頂きます。

1. 直立位では両下肢支持に伴い、両大腿骨頭と両臼蓋を介して両寛骨には床からの反力がかかり、これと共に仙骨では脊柱を介して胸郭、頭部、両上肢の重みにより床面方向へ下げられようとする力が生じると考えられる。これにより両側の仙腸関節では剪断力が働いていると考えられるため、内腹斜筋横線維がその剪断力を防ぐ作用として関与する。

2. 立位にて腹腔内臓器は重力の影響を受けて下がろうとする働きが生じることが考えられ、内腹斜筋横線維はその制御にも関与している可能性がある。

 

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部