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PT大沼俊博の臨床家ノート 内腹斜筋と外腹斜筋

わたしが理学療法士になったころ、よく体幹筋に主要問題を認める片麻痺患者さんの治療をさせて頂くことがありました。

今考えますと患者さんへの、体幹筋に対する評価時の表現は大きくとらえたものでした。

『体幹に不安定性がある』

その理由は『腹筋群の筋緊張が低下しているから』、『背筋群の筋緊張が亢進しているから』といった感じです。

そのなかで、腹筋群や腰背筋群に筋緊張異常を有している患者さんに対して、どんな活動を促していけばよいのだろう?といった疑問が湧いてきたのです。

治療場面において、臥位での運動時や座位、立位、立位での体重移動やステップ、歩行における体幹筋の活動を理解したうえで患者さんの治療をしたいと思いました。

わたしが体幹筋への筋電図を用いた研究をはじめさせて頂いたころ、内腹斜筋と外腹斜筋の活動については、それぞれが重層している部位(上前腸骨棘の上方5cmの位置)をもって腹斜筋群と表現していました。

それぞれの活動があわさった活動として捉えていたのです。

1998年ころより、内腹斜筋、外腹斜筋の評価方法に新たな風が吹きました。

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解剖学的観点から、内腹斜筋と外腹斜筋の筋活動を単独で評価できる部位がわかったのです。

内腹斜筋の単独部位は上前腸骨棘を指標とし、下方2cmの水平線上の若干内側の位置です。これは内腹斜筋のなかで、どのような線維方向でしょうか?

じつは内腹斜筋は骨盤内では線維が横方向に走行しているのです。

したがって触診や筋電図測定から得られる情報は、骨盤内の横線維の活動を反映する部位を評価していることになります。

また外腹斜筋の単独部位は、第8肋骨下縁の部位です。これは肋骨と腹直筋鞘の間を走行する外腹斜筋の斜行線維の活動を反映する部位となります。

内腹斜筋、外腹斜筋を対象とした運動療法では、内腹斜筋の骨盤内の横線維と外腹斜筋斜行線維の活動をさかんに評価していきました。

そして内腹斜筋と外腹斜筋の活動を解明していく研究においては、電極貼付部位の特定が可能となったわけです。

座位や立位、立位での体重移動やステップ課題において、内腹斜筋横線維、外腹斜筋斜行線維、さらには内腹斜筋と外腹斜筋が重層する部位には活動の違いはあるのか?といった探究心に当時は大変駆り立てられました。

今回のお話の中でまずはご理解頂きたいこととして、内腹斜筋と外腹斜筋については、腹斜筋群としてひとくくりに評価するよりも、解剖学的観点から内腹斜筋横線維と外腹斜筋斜行線維は単独部位としても評価できるということをお伝えできていれば嬉しく思います。

執筆者
大沼 俊博  PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部