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PT大沼俊博の臨床家ノート 感覚障害について

今回は感覚障害のお話をさせて頂きます。

体性感覚は、表在感覚(触覚、圧覚、温度覚、痛覚)と深部感覚(位置覚、運動覚、振動覚)、および複合感覚に分類されます。

体性感覚障害が生じる可能性については以下の領域での障害が考えられます。

1.体性感覚の受容器がある末梢部と脊髄までの経路

2.脊髄から視床における神経経路である後索路、外側脊髄視床路、前脊髄視床路、前・後脊髄小脳路

3.視床から内包に至る経路

4.内包から大脳皮質感覚領域

臨床にてみられるであろう感覚障害の原因につきましては、脳疾患、脊髄疾患、神経根障害、末梢神経障害に起因する感覚障害が考えられます。

セラピストにあまり関わりのない例を挙げますと、火傷による皮膚の損傷経験のある患者さんはどうでしょう。

皮膚の火傷により、受容器が障害されますと、そのエリアの表在感覚障害を認めるかもしれません。

理学療法士や作業療法士が担当させて頂く機会のある骨折後のギプス固定により関節を動かさない時期を過ごされた患者さんはどうでしょう。

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動かさなかった関節においては、深部感覚障害が生じる可能性が考えられます。

例を挙げますと、足関節周囲の骨折後にギプス固定をし、その後の骨癒合の向上に伴いギプスカットをしたとします。

そして患側に体重をかける練習の許可が出た際、足関節や足部には関節可動域制限を認め、足関節周囲筋には筋短縮や筋力低下を認めることが考えられます。

足関節や足部をしばらく動かせない時期を過ごし、さらには荷重をかけていなければ、いきなりしなやかな運動はできないことでしょう。

このような場合患者さんから、地に足をつけて体重を乗せていく際、どうやっていたかわからないなど、深部感覚障害を疑うコメントを聞かせて頂くことがあります。

この際、検査により位置覚、運動覚の障害が明らかになったならば、その改善を視野に入れて理学療法や作業療法を行う必要があると考えます。

今回のようにギプス固定後に生じた深部感覚障害の改善を考慮して運動療法を行う場合、まずは関節可動域の拡大と共に筋力の向上が必要になると考えられます。

関節可動域や筋力が向上したにも関わらず、動作に反映しない場合には、獲得したいADLに必要な姿勢、動作の練習を質良く練習していくことで、運動学、解剖学観点からも理想的な筋活動を伴う正常運動の獲得につながると考えられます。

そしてこれら運動学、解剖学観点に基づく正常運動を継続して練習すること自体が正しい感覚入力につながり、感覚障害に対してのアプローチが成立していくものと考えています。

明日からの臨床での思考のお役に立てれば幸いです。

執筆者
大沼 俊博  PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部