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PT大沼俊博の臨床家ノート 脳卒中片麻痺患者さんと魚の目

慢性期の脳血管障害片麻痺患者さんにおいて、麻痺側足部に内反変形を認める方では小指側での荷重の積み重ねにより、小指周囲に胼胝(たこ、べんち)や魚の目が生じている場合があります。

胼胝(たこ、べんち)は、機械的な刺激が続く箇所において皮膚の角質層が肥厚した状態といわれています。

そして角質層が深層にまで達すると痛みを伴うようになり、魚の目となるようです。

脳血管障害片麻痺患者さんにおいて、内反足の小指周囲に荷重が重なることにより魚の目が生じますと、歩行時に痛みがでる方をお見受けします。

このような場合、靴の中にインソールを入れると魚の目への刺激が緩和され、屋外歩行は痛みなく歩けるということを経験します。

屋外では痛みなく歩けるようになるのですが、ご自宅での裸足や靴下を履いた状態での歩行においては依然として痛みがでるというお悩みを聞くこともしばしば…。

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『なんとか痛みなく靴下を履いた状態ででも自宅内を歩けるように。』

そんな気持ちで運動療法に携わらせて頂いています。

このようなケースのアプローチについてはどんな方法が考えられますでしょうか。

内反変形の足部へのアプローチ、そして立位姿勢や歩行動作に対して、その患者さんの荷重の掛け方を評価したうえで改善のための運動療法を実践していくことは、セラピストができる根本的治療になると考えます。

また外科的治療の実施、市販されている魚の目治療薬を用いて治療することで痛みが無くなり、自宅内での歩行が楽になられるということもあります。

しかし外科的な治療などを継続されていても、なかなか魚の目の芯が取りきれていない場合には、自宅内歩行にて痛みを伴われるでしょう。

靴下の底がインソールにならないかな?などと考えたりしますが、自分にはそのような優れた技術は持ち合わせていません。

片麻痺患者さんの魚の目の痛みの緩和に対して頭をひねりました。

ある日100円ショップにて女性用の靴のサポート商品コーナーの前を通りましたところ、靴の中に貼りつけて使えるシリカゲル様のクッションに目がとまりました。

なんとか使えないだろうか…。

そのとなりのコーナーには、短めの靴下が…。

このセットで魚の目に対応できるかもと思いそれぞれを手に取り、とりあえず購入しました。

患者さんの魚の目の位置と荷重の掛け方をイメージし、家に帰って試作品を作ってみました。

久々に裁縫道具を取り出し、慣れない手で針と糸を持ちました。

まず一方の靴下を手に取り、もう一方の靴下の中にいれて、靴下が二重になるようにします。

そしてその間にシリカゲル様のクッションを小指側の魚の目の位置にあたるように挟み入れます。そしてクッションの周りを囲うように2枚の靴下ごと縫いつければ完成です。
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これを魚の目でお悩みの片麻痺患者さんに自宅内歩行にてご利用頂くと嬉しいことに痛みなく歩くことができました。

200円で作ったクッション入り靴下により、自宅内生活の質の変化につながった経験です。

色々な視点から片麻痺患者さんの魚の目に対する支援ができることを学ばせて頂いています。

自宅内での歩行にお困りの片麻痺患者さんのご支援のご参考になればと思います。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
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六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部