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PT大沼俊博の臨床家ノート 起き上がり介助とトランスファー介助

今から約25年程前のお話です。

私が高校生の頃、母親が脳出血を発症し、左片麻痺となりました。

急性期病院に入院し、その後リハビリテーション目的にて他院に転院し、そして在宅生活に戻りました。

母の身体は左片麻痺により、麻痺側は随意性が無く、日常生活は全介助レベルでした。

当時は介護保険制度がなく、在宅生活はすべて家族による介護を余儀なくされました。

トイレがしたいと母が希望すれば、私も父も母をベッドから全介助で起き上がらせ、座位保持がままならない状況から全介助で立ちがり、下衣と紙パンツを下げて、ポータブルトイレへトランスファーを行なっていました。

用を足すと下衣と紙パンツを履き、ベッドに移乗する。

また食事の際には車椅子に全介助でトランスファーをする。

1日のなかでこのような動作が繰り返されました。

父も私も起き上がりやトランスファーの方法がわからないまま、力任せに介助をしていたと思います。

振り返って考えますと、体幹や股関節の屈曲可動域がが少ないにも関わらず、ベッド上で長座位を経由して起き上がったり、立ちがりの後は、下肢がクロスしたまま母が履いているズボンを掴んで引っこ抜くようにしてトランスファーを行うこともしばしばでした。

本人からは痛い痛いという声も…。

しかし方法がよくわからないのです。

運動学や解剖学の知識も無く、闇雲の中で介助をしていたのですから無理もありません。

その数年後、母がお世話になった理学療法士の先生方に我々家族が救われたことをきっかけに、私は理学療法士になりました。

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理学療法士として仕事をさせて頂くなかで、脳血管障害患者さんの急性期の方や慢性期の方、股関節や脊椎の手術後の方など、様々な疾患の方の起き上がりや座位保持、トランスファーを促していく経験をさせて頂きました。

おひとりで起きれそうで起きれない片麻痺患者さんに、30°ほどのギャッジアップをしてベッド端から両下肢を下ろすと、ベッド柵を非麻痺側で把持する共に肘支持、手支持に移行して起き上がれたりします。

疾患の特徴を理解したうえで、立ち上がりや立位、立位での側方への体重移動、ステップ動作の運動学を理解していれば、トランスファーにおいて適切な介助につながることもよくわかりました。

あれから25年が経った今、患者さんの疾患や症状に応じ、リハビリテーション室だけの世界に留めず、ご家族やサービスに携われる看護師、介護士の方々と共に患者さんに必要な介助をこれからも勉強させて頂きたいと思っています。

今回、株式会社Work Shift主催、在宅リハビリテーション・ケアスクール 高槻にて、在宅系のセミナーを大沼がさせて頂くことになりました。 

私がセラピストになる前に困った体験や理学療法士として勤めてからの経験を通して、介護に関わる方々に即役立つセミナーにしたいと考えております。

2018年4月25日(木)ナイトセミナー 在宅環境で学ぶ!ベットから車椅子・ポータブルトイレへのトランスファー技術
https://ptotst-mirai-mission.net/seminar/?id=35

2018年5月17日 (木)  ナイトセミナー 在宅環境で学ぶ!重度者のトランスファー~背臥位 上下左右移動・寝返り・起き上がり~
https://ptotst-mirai-mission.net/seminar/?id=43

2018年5 月20日(日)在宅環境で学ぶ!屋内移動能力の評価と介入~床からの立ち上がり、車椅子からベッド移乗、階段昇降~
https://ptotst-mirai-mission.net/seminar/?id=46

宜しくお願い致します。

執筆者
大沼 俊博 PT, M.S. (Health Sciences)
oonuma
六地蔵総合病院 リハビリテーションセンター 副センター長
関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 助教
関西理学療法学会 理事
関西理学療法学会 神経疾患理学療法 認定講師
関西理学療法学会 基礎理学療法 認定講師
株式会社WorkShift セミナー事業部